とても、心に浸みる作品でした。 原題は「The KiteRunnner」というそうですが、物語の中で語られる言葉「君のためなら千回でも」が、日本公開でのタイトルに使われています。
70年代のアフガニスタン 平和で活気のあるカブールの風景が活き活きと再現されていることに、冒頭から心をわしづかみにされます。 そして、それに華を添えるCGを駆使したと思われる凧合戦を追ったアクロバチックなカメラワークは、テクノロジーの上品な使い方として秀逸だと思います。 そして、後半ソ連侵攻後の、荒廃した町並みをリアルな対比をもって見せるチカラは「さすがアメリカ映画!」と唸らされるところです。
ストーリーの本筋は、主人公が過去の過ちに対する贖罪がテーマに据えられていると感じましたが、そこに至るすべてのエピソードが、丹念に作り込まれていて、誰でも心に思い当たるであろう、自分の犯した過去の過ちへ「許し」を願う心の琴線に触れる作品になっていると思います。 そして、生まれや民族問題、時代と政治や社会情勢に翻弄された2人の少年の、それぞれの立場と友情を軸に、人が持つ様々な要素も描き出され、人間ドラマとしての深みが見て取れます。
メインの少年二人も勿論ですが、主人公アミールの父親がとても魅力溢れる人物として描かれていて、とても素敵でした。 そして、アミールに強い影響を与えた、父親の友人ラヒム・ハーンも同様です。 この頃の男達は、かっこよかったんですね。
是非もう一度、しっかり観てみたい作品となりました。 90点差し上げたいです。
余談ですが、作品鑑賞中の劇場で、今時には珍しく、電気系統のトラブルで上映が中断してしまうハプニングに見まわれました。ストーリーの終盤、やや手に汗握るシーンの最中だったので、ちょっと残念なことでしたが、帰りにゴメンナサイ招待券をもらったので、少し許してあげることにしました(笑)
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