綿密に練られた脚本に唸らされる、息をもつかせぬサスペンス&ノンストップアクション。
上映時間90分と比較的短めの作品でしたが、120%楽しめました。黒沢明監督の「羅生門」のサスペンス手法をなぞったとの解説もありますが、哲学的表現があるわけではありません。
合衆国大統領が、公衆の面前で狙撃され、尚かつ同じ現場で爆弾テロも起きるというというショッキングなシチュエーションを、関連した8人の登場人物の視点から映像化するという凝った手法で、まさしく映画の醍醐味を堪能させてくれました。
初めに、群衆の前で演説する大統領の姿を中継するTVクルーが登場、その生中継の最中に事件が起きます。そのTV中継クルーの映像配信の様子が、作品のその後の映像作りをナビゲートするがごとく象徴しています。 続いて主役のデニス・クェイド演ずるシークレットサービス"バーンズ"の、早朝の場面から、爆発後までが描かれますが、その朝の場面に戻るまでの時間を逆行させるのに、ビデオテープをキュルキュルっと巻き戻すかのような映像で見せてくれます。 大統領狙撃と、大爆発シーンとその後少しだけ進展する展開・・そこからまた次の登場人物のパートへと移ってゆく際にもやはりキュルキュル戻りが繰り返されます。(その度に大統領は撃たれ、爆発が起きるのですが・・。)
ん!また戻るの?と、何度も思いつつ見進んでいると、その都度最後に少し新たな展開が入ってきて、真実に近づいてゆくという手法も、小憎らしいくらい計算されています。
フォレスト・ウィテカー演ずる旅行者が持っているハンディビデオが犯人捜しの道具になったり、バーンズが、TV中継車の放送用ビデオテープから真犯人を見つけ出したりと、映画全体の作りに、時間を逆行して映像を再現できるビデオの特徴をうまくリンクさせているなと感じました。
この作品のおもしろさを文章で伝えるには、私の作文力はあまりに拙いので、是非劇場でご覧になることをお勧めします。 後半のカーアクションも上級ですし、8つのパートが最後にリンクして、なるほどと納得することで、そこまでのストーリーが、とても綿密に創られていたことに感心させられると思います。脚本の勝利というところでしょうか?
少しだけ(?)が浮かんだのは、今どきの映画にしては、米国大統領の描き方が好意的過ぎるかなという点ですが、自分の身を挺して最高権力者の警護をする役目のシークレットサービスの活躍には、大統領をそれなりの人物に描かねばならない宿命があるタイプの作品なので割引きを差し上げなくてはいけないですね。
犯人達の思想信条や、国籍・セクトなど説明的な部分はありませんので、政治的な側面はほとんどない純粋な娯楽作品です。 DVD化されたら、ストップやスロー再生を駆使して、意地悪く細かい点まで何度もチェックしながら見てみたいです(笑)
ななさんこんにちは。
ようこそおいで下さいました。TBもありがとうございます。
顔出しで書いているので、ダメダメ映画についてのコメントをしにくいのが欠点ですが、またおいで下さいね。
投稿情報: 風林堂 てんちょう | 2008年4 月 9日 (水) 09:12
店長さん こんばんは
TB,コメントありがとうございました。
この映画はほんとにいろんな意味で
よくできた作品でしたね。
監督がTV出身というだけあって,観客の関心を逸らさない手法に長けていました。
米国の大統領は,やはりどの映画でも
ありえないほどのナイスガイという設定が多いですね。
店長さんのアップされてる映画は,私のお気に入りの作品が多いです。
こちらこそ,またお邪魔させてくださいね。
投稿情報: なな | 2008年4 月 8日 (火) 23:38