分かっていながらはめられる快感に酔う。そして反芻する楽しさ。一粒で2度オイシイ上質エンタテインメント
このところの映画レビューで、満足度1位をキープしている作品でしたので、期待を持って観に行きました。 果たしてその期待に違わず、上質エンタテインメントとして十分楽しめました。
面白さの決めては、緻密に練られ構成された脚本によるところが大きいと思います。 その監督・脚本は内田けんじ、前作「運命じゃない人」が話題になった監督です。 そういうわけで内容に触れるとオイシイところを暴露してしまうので、もし、これからご覧になろうという方がいらしたら申し訳ありませんから、極力触れずにおきたいと思いますが・・。
主役は、大泉洋、佐々木蔵之介、堺雅人、人気の3人ですが、その他ストーリーの展開に関わる重要な配役が何人かいます。 前半1/3くらいまでに見る映像から、登場人物それぞれに対する、断片的情報や思いこみによって人の目がどれだけ惑わされているのかというあたりをスルドく突かれ、刷り込まれの度合いが強いほど、作り手のテクニックに、よりきれいにハメられることになります。起承転転結という構成とでもいえるでしょうか。
裏街道を歩く探偵家業の男(佐々木)と、マジメなお人好し中学教師(大泉)の最後の会話、それによって二人に対する、それまでの先入観、評価がひっくり返されるのも快感でした。 こんな世の中だけど、捨てたもんじゃないよ・・という作り手のメッセージが聞こえてきそうです。
見終えてすぐに記憶の糸を手繰り、ネタ振りとオチとの関係を一つ一つ振り返ってみる楽しさも、この作品のもう一つの醍醐味かもしれません。同行者とのお茶タイムが充実しそうです。
全体のテンポが良く、コミカル、シリアスがほどよくバランスされているあたりも好感が持てます。 ぜひご覧になり、騙される快感に酔ってみてください。
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