去る11月1日。 「あぁもうすぐ年末だなぁ」などと
ぼんやりカレンダーを 眺めていた定休日の朝、映画の日だったことに”はた”と気づき、急いで上映スケジュールを物色していたところ、気になっていた「アフター・ウェディング」という作品が立川のシネマシティで架かっていることを発見、行って参りました。 この劇場は、昨秋「ホテル・ルワンダ」を短期間上映していたときに初めて訪れた劇場です。(そのときはシネマツーという姉妹館でしたが)
スサンネ・ビアという女性監督が撮った デンマークの作品だそうで、はてデンマークの作品って観たことあったかな? と考えてみたら、自分としては初めてのようです。 好きな監督ラース・フォン・トリアーがデンマーク人ですが、彼のデンマーク語作品は観たことないので・・。
インドで孤児の援助活動をする主人公ヤコブ(ジェイコブ)が、活動資金の提供提供を受けるためコペンハーゲンに向かうところから物語が始まります。資金援助者で実業家のヨンセンの娘の結婚式に出席することを強いられ、その幸せな宴のシーンからサスペンスドラマのごとく展開して行きます。 ヨンセンの妻は、ヤコブのかつての恋人で、異父娘のアナは、実はヤコブの娘だったというから、メロドラマのようでもあります。 ヨンセンはヤコブが、妻のかつての恋人であることを承知で、援助を申し出ただけでなく、益々接近してきます。その真意は・・
まずは、インドの貧困街と、孤児たちの映像から物語は始まり、コペンハーゲンの町並みの美しさとお金持ち家族の豪華で幸せな結婚式描写との対比が際だちます。 そして、自身の故郷でありながら、居心地悪そうに振る舞う主人公が、その感を強めます。 やがて、ヤコブが実の父であると知った娘アナは、ぎこちなくも実父に対し愛情を示し始め、ヤコブもそれに応えます。 そして、物語の後半の骨になる、育ての親ヨンセンへの悲劇が待っていることが明らかになります。このため、ヤコブは、それまでの生き方と、かわいがってきたインド人少年との絆を捨て、故郷に戻り実の家族と生きることを迫られ苦悩します。 父娘の二人が、二つの家族を持ち、その狭間で揺れ動く心の描写といったあたりが物語のキモだなと感じました。 そしてもう一つ、強くて自信に満ち、家族愛に溢れ颯爽としているヨンセンが、次第に弱さと垣間見せるようになり、最終盤に描かれる絶望を前にした男の描写には胸を打たれます。
全体に青っぽい映像作りが、落ち着いた雰囲気を醸しだし、いい感じです。手持ちカメラのような映像と、眼差しと手のドアップの描写が多用される手法が特色だ思いましたが、こちらは自分としてはあまりスキではありません。昔の(今のを知らないので)日本の少女コミックの画風みたいです。 そして、ストーリーの部分では、一代で身を起こし大物になったヨンセンが、なぜ自分の後継者にヤコブを選ぶに至ったかという部分で、残念ながら説得力を感じませんでした。
作品の善し悪しはについて客観的に語れる力が自分にはないので、好き嫌いを基準に採点すると60点くらいといったところでしょうか? 欧米人の家族愛への共感が必須です。
同じフロアーのスクリーンでは、日本人の家族愛がテーマの「象の背中」を上映していて、偶然なのか上映館の意図があるのか、おもしろい組み合わせだと思いました。
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