結構お気に入りのくせ者監督"ウェス・アンダーソン"作品を観てきました。はじめに「ホテル・シュバリエ」という短編が上映されます。本編に関わる男女二人が描かれる、それだけでは、そのポジションがよくわからない作品ですが、本編でなるほど!と理解させてくれます。楊枝をくわえたショートカットの"はすっぱ"ナタリー・ポートマンのヌードが綺麗です。
本編の主役は男三兄弟、父の死後、絶縁状態にあった関係を修復するために、長兄の誘いでインド旅行が始まります。ストーリーが進んでも、絶縁に至った理由や、兄弟の過去などに触れる説明的な部分はほとんどなく、観客は兄弟同士の会話にその糸口を探さねばなりません。 ?を頭に浮かべたまま、「兄弟の結束を取り戻そう!!」と、大まじめに旅を続ける彼らに付き合い、その"おまぬけ"ぶりにくすくす笑わされます。結局、兄弟の心のもつれた糸は簡単にはほどけず、旅は終わりになってしまうと思われるのですが、後半の重要なエピソードによって思わぬ展開を見せ、味のある終盤へ続いていきます。
ゆるーい作りの映像を見ているうちに、いつの間にか作品の世界に引き込まれ、見終わったあと不思議な爽快感に満たされました。怒り、驚き、悲しみ、そして感動など心が揺さぶられるというタイプの作品ではありませんが、しみじみいい作品だなぁ~というのが感想です。 75点を差し上げましょう。
ただ、こういう作品がまったくだめな人もたくさんいるだろうなとも思いましたが。
ビジュアル的には、輝く陽光と、至る所で目にする鮮やかな色彩がインド独特の雰囲気演出するのにとても効果的で、70'sを中心としたポップ・ロックと印度音楽がサウンドトラックに多く使われているのも、映像とよくマッチしていて気持ちよかったです。
三兄弟のキャラクターがそれぞれとても“濃い”のですが、なかでも「戦場のピアニスト」エイドリアン・ブロディの悲しげな"ハの字"眉毛のオトボケぶりにヤラれました(笑)
最近のコメント